| 日本トレッキング協会事務局
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| トレッキングは自然を楽しむ遊び。春は木々の芽吹きを待ちわびながら、夏は沸き立つ雲を見上げて、秋は紅葉のコントラストに目を見張り、冬は陽だまりの暖かさに心をほころばせて。トレッキングは、本当に楽しいアウトドア遊びです。山ガールファッションが大流行し、2009年には約600万人といわれていたトレッキング人口は、2010年には1200万人を超えたともいわれています。さらに、ハイキングやピクニックを楽しむ人口まで含めると、3600万人になるとのことです。 これほどまでにトレッキング人口が増えたのは、人間が山と付き合う理由が変わってきたことがあるようです。かつて登山が大ブームだった昭和の時代には、「山とは心身を鍛える場所」、「山とは冒険に挑んで征服するもの」でした。 けれど、いま、山を歩く人たちの気持ちのなかには、そんな「鍛える」とか「挑戦」するとかいう気持ちは、ほとんど無いようです。そんな言葉とは正反対の「なごみ」とか「癒し」を求めて山を歩く人たちが多いのではないでしょうか。 ところが、山は人間の力の及ばない大自然。鍛え上げたベテランにも、可愛らしい山ガールにも、時としてその脅威を見せつけることがあります。そんな時に必要となるが、「知識」と「技術」です。安心と安全なトレッキングのためにぜひ、知識と技術を身につけてください。 ■トレッキングは競争のない山遊び よく「登山とトレッキングって、どう違うの?」という質問をきくことがあります。ハッキリ違うところがあります。それは、トレッキングには競うというところが無いこと。登山には、初登頂や初登攀という言葉がありますが、トレッキングにそのような競争を意味する言葉はありません。 競争は、時として無理につながります。無理は、怪我や事故につながります。一人ひとりが、それぞれに合った山を歩くのなら、それは安全につながります。他の人と競ったり比べたりせずに、自分の楽しみ方を見つけることが本当のトレッキングの楽しみ方です。 ■地図は、これから始まるドラマのシナリオ インターネットや雑誌で紹介された山々を歩く人たちが多くなってきました。当然、地図やコンパスは持っていません。でも、インターネットのプリントアウトやガイドブックを持って歩いていたとしても、それは書き手や読む側の主観や思い込みが入っていることが無きにしも非ずです。一方、地図は決められた約束の記号で書かれた事実の情報です。きちんと記号を読めるようになると、「ここから先は、緩やかな登りが続くんだね。その先で尾根を回りこむと視界が開けて、そこで頂上が見えてくるのか!」などと、これから自分の目の前に起こる出来事を予告編のように見られるようになります。もっと上手に地図が読めるようになると、家を出発する前に行程のすべてを思い描くことができるようになります。 ■カッコいいことも良いことだけど 初めてのトレッキング。道具選びは慎重にしてください。アウトドアの道具は思いのほか高価に感じられるかもしれません。「なんで雨具がナン万円もするの?」って。けれど、その値段の道具は、その値段にふさわしい性能を持っています。経験が少ない人ほど、「もしも!」に対する技術を持っていない人ほど、万が一の時には道具に助けてもらうことがあるはずです。想像してみてください。山の上で、不意に雨と風に襲われたら。簡単な雨具しか持っていなくて、雨が滲みて、身体が冷え込んでしまったらと。 ■山に出かけるその前に ふだんの生活のなかで、どのくらい歩いていますか?毎日1時間?それとも数10分?私たちが日常生活で歩く時間や距離は意識せずにいると驚くほど短いものです。ところがトレッキングに出かけるとなると、短いコースでも2〜3時間かかることが普通です。山歩きやトレッキングほど日常にトレーニングされないスポーツは珍しいといわれます。ふだんは持たないような重い荷物を背負い、ふだんは歩かないような急な上り下りを繰り返し、ふだんは歩かないような数時間の距離を歩き続けるのですから、やはり、少しずつでも日常で歩く習慣を持ちましょう。苦しいトレーニングは必要ありません。少し速足で歩くくらいが持久力を高めるためには効果があります。 ■階段トレーニングは上りよりも下りで 山歩き、トレッキングのトレーニングだといって、上りに階段を使うことをする人が多いです。でも、上りでは、勢いやはずみで身体を持ち上げることができてしまいます。多くの人たちが、下りで膝が痛くなると言います。下りでドシンと脚に体重をかけると、その人の体重の3倍の加重が膝に加わると言われています。重いものを持ち上げるときは勢いで持ち上がりますが、重いものを持ち上げて支えている方がつらいですね?階段を下りに使うことで、体重を支える脚部の筋肉を鍛えることができます。 |
■歩き始めるその前に 家を出発して、クルマだったり電車だったりで、登山口まで数時間。身体を動かす筋肉は固まってはいませんか?これから何時間が動き続けてくれる筋肉に、「よろしくね!」と伝えて準備をしてもらうのが準備運動です。静かな呼吸を続けながら、ゆっくりとストレッチをしましょう。勢いをつけてはいけません。痛気持ちイイのも強度が高すぎます。朝起きたときの軽い伸びくらいの感じで十分です。 ■歩き始めたら、すぐ休憩?! ベテランのトレッキング愛好者は、歩き始めて10分くらいで、すぐに休憩をとることがあります。歩き始める前には暖まっていなかった身体も、すぐに準備ができてきます。反対に、この程度のウェアで大丈夫と思っていても、想像以上に寒く感じることもあります。状況にあわせて、歩き始めてすぐの小休止をお勧めします。荷物を詰めたザックのバランスをみたり、背中に当たるところがないかなどもチェックしましよう。靴ひもの調節もお忘れなく。 ■栄養と水分は、クルマと同じように クルマがガソリンで動くように、私たちにも燃料が必要です。適度に食べ物と水分を摂るようにしましょう。見晴らしの良い頂上でのランチも楽しいものですが、一番効率が良いのは、休憩のたびに少しずつの食べ物と水分を摂ることです。身体が一度に吸収できる量には限界があります。摂るタイミングも大事です。お腹が減ったからと食べたり飲んだりするのではなく、1時間後の養分を、疲れたり空腹になる前に摂りましょう。ガソリンが空になってしまったら、次のスタンドまで進むことはできません。 ■ほんとうのカッコ良さは、しぐさのなかにある 色々なスポーツに、ルールブックには載っていないけれども皆が気をつける独特のマナーがあります。もちろん山歩き、トレッキングにも独特です。たとえば、狭い道ですれ違うときには上りが優先だとか、片側が谷になっている場所で入れ違うときには、止まって待つ人は山側に身を寄せるとか。手袋をつけるときは利き手を先にとか、ザックを地面に降すときは背中に当たる面を上にするとか。書き出したらキリがないほどの、山の約束ごとがあります。入門書には書かれていない約束ごとは、ベテランの方と同行したときに教えてもらえます。 ■私たちを包む森 特にトレッキングを始めた頃に訪れるのは、いわゆる里山に近い場所です。そんな場所は、たとえば林業だったり農業だったり、山の恵みで生活をしてきた地元の方たちが拓き、守ってきた小道であることも多くあります。そんな道を歩くときには、絶対に踏み跡を外したり、路肩を傷めたりしないように気を付けしましょう。山の人たちが作り守ってきたことに感謝しながら歩く心を持ちましょう。周囲の森もおなじです。森林浴を楽しんでいるその森は、やはり多くの人たちに守り育てられてきた森です。むやみに踏み込んだり、綺麗だからと言って勝手に花を摘んだりすることはよしましょう。 ■万が一のための もしもの場合、応急処置の知識を持っていることで対処ができることが多くあります。機会をみつけて救急法の講習を受けておきましょう。ロープワークの技術を覚えておくと便利なこともたくさんあります。いちばん良いのは怪我をしないことですが、もっとも多い怪我の理由転倒です。その理由は「おしゃべり」だとか。楽しく歩くのも良いですが、はしゃぎすぎて足元がおろそかになってはいけません。 ■無事下山 疲れたといって、すぐに座り込んでしまうことは、かえって疲労や筋肉痛の原因になります。ザックを降して少し身体を動かしましょう。ウォーミングアップはしても、クールダウンをする人は少ないようですが、翌日も元気でいるためには必要なことです。それまで歩くことで激しく使ってきた筋肉を、徐々に落ち着かせてあげることで身体を労ってあげましょう。最後にひとつ。下山後の温泉を楽しみに山を歩くことがありますが、熱い温泉が、かえって筋肉痛を増すことがあります。筋肉痛は、筋肉中の毛細血管が熱を持つ状態です。温泉に入るその前に、いちど冷たい水などで脚部を冷やしてあげると筋肉痛は残りにくくなります。 日常を離れて自然のなかに自らを置くトレッキング。日常から離れるからこそ、いつもの生活とは違う約束ごとやマナー、知恵が必要となります。信頼できる仲間を見つけて、正しい知識や技術、マナーを身につけ、安全に楽しくトレッキングを楽しんでください。 |
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